ベトナムのオフショア開発と、日本のIT業界との関係
日本の開発業界
大枠としてみると、日本でのシステム開発、IT業界は大きく2つの方向性があり
主に企業を相手にBtoBのシステムを請負、開発しているSIerと
主に自社サービスなど、BtoCのWebサービス、アプリなどを開発しているWeb業界(Webベンチャー)がある。
他にもソフトハウスだとか、エンジニア派遣するSES、フリーランスなどなど、本来は色々とあるが、ベトナムの開発をする上で話がややこしくなるので2つの方向性で説明。
業界のビジネスモデルと開発に重視されること
一般的にそれぞれの業界のビジネスモデルは違っている。
SIreは、対企業向けにビジネスや業務上などの課題などを解決するシステムを提案、設計、開発をし、企業から対価をもらう。
Web業界は、開発したシステムを、対ユーザ向けに提供をし、ユーザから対価をもらう
といった違いがある。
このビジネスモデルの違いから、開発の中で重視することなども違ってくる。
SIerは、特定の顧客などを相手にするのが基本のため、開発の前に顧客からしっかりと課題などを聞き出し、要件を定義し、システムの仕様やスケジュール、予算などををしっかり決めて、事前の計画通り進め、高品質なシステムを作り納品することが求められる。
Web業界は、不特定多数のユーザなどを相手にビジネスするのが基本のため、事前に要件や仕様をしっかりと決めるのが難しく、いかに早くユーザへ提供しフィードバックを受けるかという部分が重視されることが多く、仕様変化に強い柔軟なシステムを作る事が求められる。
上記の違いから、SIerは、要件定義、仕様書などを開発前に作成し、工程を順番に進めるウォータフォール型の開発スタイルが多く、納品時の品質も高いレベルで求められるため、テストなどにもしっかり工数をかける傾向がある。
一方でWeb業界は、対ユーザ向けサービスのため、とにかく早くリリースしユーザの需要を確認する事を求められ、そのため事前に詳細な仕様を固めずに開発が始まるケースも多く、開発の状況や仕様の変化に強いアジャイル型の開発スタイルが多く取り入れられ、リリース重視のために、テストなどの工数は比較的少ない傾向がある。
一概に開発といっても、このように重視することや進めかたに違いがある。
ベトナムのオフショア開発と、日本のIT業界
オフショア開発というのは、日本などの人件費を、単価の安い国の人件費に置き換えて、全体のコストを下げましょう、というのが大枠の考え方。
つまり日本で開発するよりも、ベトナムで開発した方が開発費が安くなる、という部分があるから成り立っているビジネスモデル。
もともとは、人月いくらで売り上げを作る、大きい規模で事前に仕様やスケジュールがしっかりと決まっているような案件が多い、SIer業界を対象にしていたビジネスだったが
近年はWeb業界なども利用するようになってきている。
しかし、ベトナムのオフショア開発は元々SIer相手に業界が発展しており
ベトナムのIT業界は国内よりも単価の高い、海外からの仕事オフショア開発に力をいれて発展してきたという経緯もあり、そういう環境で人材が育ってきている為、基本的に経験豊富なシニア人材やマネージャ層も、ほぼSIerで育った人材である。
またベトナムでは社会主義の国の特徴からも役割分担などの考え方も強く根付いており、エンジニアとテスターの分離、設計とコーディングの分離など、エンジニアのできる範囲が、日本を含めた先進国のエンジニアと少し違った感じになっているのもベトナムの特徴。
オフショア開発の大半のエンジニアは、仕様書を元にコードを書くだけのプログラマー(コーダー)で、指示通りに実装するスキルはあるが、プロジェクト全体を見たり、企画や設計などの上流工程に必要なスキルは総じて低い。
自分に与えられたタスクをこなすだけ、というタスクワーカーも多く、自分が実装していない部分は把握できていないエンジニアも多く、実装部分以外の修正ができなかったり時間がかかったり、という事が目立つ。
実装者が全体を把握していないので、共有化などの考え方も弱く、同じような実装が各所で行われていたり、同一システム内で同じようなバグが頻発したり、一部の修正を行った事で、違う部分にバグがでたりするなど、修正や変更に弱い実装になりやすい。
役割分担からエンジニアのコーディング後は、動作確認や単体テストなどをテスターに丸投げするケースが多く、エンジニアの品質面の意識などが育ちにくい環境になっており、テスターが確認できない技術的な品質部分、例えば負荷やセキュリティなど一般的にエンジニア確認する品質の部分に問題が出やすい構造になっている。
結局このような構造がある為、マネージャもエンジニアも、終始目先のタスクをこなす部分に意識が向いており、製品やエンドユーザなど、1手先2手先などのその先にあるものを考えたり意識したりすることが苦手で、プランニングやUXなどもできる人材は少なく、物事の因果関係を考えたり、論理的に説明や報告したりするのも苦手な人が多い。
このような経緯もあり、ベトナムのオフショア会社に、詳細な仕様が詰まっていないような開発案件を発注すると
日本で開発するよりもコストがかかってしまった、納品されたものの品質が低すぎて使い物にならないなど、プロジェクトが失敗で終わるケースも多くなる。
その結果、オフショア開発の認識として、単価は安い分品質も低い、というイメージが浸透する結果となってしまっている。
そもそものビジネスモデルからも、オフショア開発では、日本で開発するよりも、かなり安めの見積もりを出せないと、利用しようと思ってもらえない状況があり
単価の高い日本人がコミットせず、管理コストが安い、見積もりの安い、つまり管理コストをかけないベトナムローカルや規模の小さいオフショア企業に見積もりで負け、そういう会社に発注することで、結果プロジェクトが失敗するという悪循環も発生しやすい。
こう言った経緯で発展して来たベトナムのIT業界も、近年は変化をしてきており
web業界に求められるような、速度、柔軟性、などに対応した会社なども出て来ている
この対応ができる会社とできない会社で、明暗は分かれつつあるように見える。
2021年の現時点、ベトナムは大きく経済成長しており、毎年インフレも進み人件費も年々上がっている状態。
ベトナムのエンジニアは、まだ需要が伸びており、実装だけをするようなコーダーでも国内の他の職種よりも給与水準は高く、年々その水準も上がっている。
今後国の経済発展とともに、ベトナム国内での開発需要も爆発的に伸びていくことが予想され、さらに開発人材の給与水準は高まりそうな状況。
しかし対国外、日本の人件費と比較してみると、トップレベルのエンジニアの単価がオフショアとしての価格メリットを出せる範囲をそろそろ超えそうな状況になってきている。
ベトナムのオフショア開発は、大きな規模のプロジェクトなど、条件が適応しないとメリットを出しにくい。
この先、会社としても人材としても、考え方、働き方を変えることが求められてくるのは間違いなく
Web業界の開発などに対応できるような、柔軟な考え方、多様性、スキルを身につけていかないと、エンジニアも会社も淘汰される時代はすぐそこまできている。
しかし、バブル真っ只中を満喫中のベトナム人、仕様が決まってない案件はやりたくないという声が今日も現場からは聞こえてくる、果たしてこの先どうなっていくのかな。
ベトナムのオフショアと、ベトナム人の仕事の文化と転職と
ベトナムでは日本と違い、ジョブホッピングが当たり前の文化があります。
一つの会社で長く務めるのが素晴らしい、という価値観は基本ありません。
例えば、年次有給休暇を例にあげると
日本だと6ヶ月で10日、そこから1年で1日増え11日、2年で1日増え12日、以降は1年ごとに2日ずつ、年次有給休暇が20日まで増えるように、あきらかに長期所属に価値があるような休暇の付与設計となっていますね
一般的にも長く会社に努めるのは良いこと、みたいな意識がありますよね。
対して、ベトナムでは、1年で12日付与ですが、1年未満でも1ヶ月1日ずつ按分して付与されます、その後は5年間隔で1日ずつ増えるという感じで
1ヶ月でも務めると有給休暇が発生しますし、その後は5年単位で1日しか増えないので
有給休暇的に、長期所属する価値はほぼない設計になっています。
正直、5年以上同じ会社に努める人はかなり稀で、10年となると激レアなレベルです。
日本でも、1社に長く勤めて査定を待つよりも、人手が足りない自分のスキルを求める会社へ転職をした方が
例えば100万単位で年収があがったりするような、通常の給与査定では難しいレベルで給与の上がり幅があったりする傾向はあると思うのですが、
特にベトナムは発展途上国で社会が大きく発展中で、スタートアップなどの外資が多く参入してきている状況のため、投資をする会社も多く、給与水準がすごい勢いであがってます。
ヘッドハンティングのスタッフがいる会社も珍しくなく、いろんな経験をしている人ほど選択肢や需要が広がり、引く手数多の奪い合いとなり、大きく給与があがる、という人材マーケットになっています。
まさにこの状況では、下手に1社に長く努めると損をするという状況ですね。
そういった下地があるので、会社だけではなく
プロジェクトに長期で所属することも基本的には嫌がります。
オフショアで新規開発ではなく、運用的な業務の場合は、特に顕著です。
大抵は同じような作業、仕事の繰り返しになっていくため
仕事に慣れたタイミング(半年~1年程度)で、もう得るものがないと判断し、得るものがないマンネリになったので移動したい、とチームの移動希望、もしくは転職の話が出てきます。
特に、オフショア開発などでは海外から、いろんな技術やアイデアの開発案件がどんどんと入ってきている中で、一つのプロジェクトに長く入るメリットはかなり薄くなってしまいます。
一つのプロジェクトで一つの技術だけをやるよりも、2つ、3つといろんなプロジェクトを経験した方が、転職時の評価が高くなります。
プロジェクトの中で、技術的な変化や、何かしら長く運用することで得られるメリットなどを与えられるプロジェクトなら良いのですが、一般的にはそういうプロジェクトはほとんどなく、長く運用しているとどんどんと人が抜けてしまいます。
日本人の場合、作業や環境にマンネリ化を感じてもその先を見据えて、2~3年ぐらいなら我慢が効くとおもいますが、ベトナム人は3ヶ月程度が限界です。
半年や1年先の話などをしたところで基本的に響きません、今が大事です。
日本人の感覚でいうと、かなり目先の感覚に直感的に反応、行動しているようにみえます。
でもそれが当たり前の社会であり、そういう文化なので、良い悪いで判断できることでもなく、そういうものだと理解するしかないです。
また誤解なきようにいうと、マンネリを感じたとベトナム人は伝えてきますが、これは仕事がつまらないというわけではなく、これ以上技術が取得できない状態である、という意味です。
そのため、技術的に新しいことがない限りは、役割を変えたりしたところで基本は解決しません。
日本人の感覚だと、せっかく育てたのに!!とかマンネリでチーム抜けるなんてとんでもない!とか、感じてしまいますし
人が定着しないようにみえ、そこに不安に感じるかもしれませんが、ベトナムだとごく当たり前のことなので
人が抜けないことにコストや労力をかけたり、人が抜けることを否定するよりも
人が入れ替わっても運用できるような環境を作っていく方にコストをかける方が建設的で、成功につながりやすいと思います。
このチームを移動したいという状態になった場合に、クライアントに相談せず、無理やりコミットを継続させたりするなど、環境があまり良くないオフショアの会社もそれなりに多いと思います。
その場合は、チーム移動ではなく、ほぼ転職になるので
人があまり辞めておらず、チーム移動の提案がある会社は、かなり良い管理ができている会社ではないかと思います。
そういった面でオフショア会社を評価してみるのも良いかもしれませんね。
オフショアを長期で利用する場合
チームメンバーが急に転職で抜けてバタバタしないように
メンバーのローテーション、入れ替えなども最初から考慮して運用すると
プロジェクトが成功する確率も上がっていくと思います。
仕事を発注する側の意識も大切になってくるのがオフショア開発です。
仕事を受ける側だけに押し付けて丸投げしているようでは、オフショア開発はまず成功しないです。
相手が一方的に悪い、出来ない、駄目だと思っていると
その先にある大きな成功を見落としているかもしれません
自分から改善していくという行動ができないと
海外オフショアではまず成功しないと思います。
ベトナムのオフショア開発でメリットを出しにくい小規模な開発
ベトナムオフショア開発で失敗しないためには、
プロジェクトの向き不向きなども考える必要があります。
初めてベトナムオフショアの利用を考える際に
心配もあって、実験的な小さなプロジェクトをまず出してみる、というのはありがちです。
ですが結論からいうと
こういった実験的な小さなプロジェクトは、コスト的にも環境的にもベトナムオフショアに向いていません。
自分の役割や業務ではない部分には口を出さない、手を出さないという文化が根付いてます。
オフショア開発では
PM、コミュニケーター、BrSE(ブリッジSE)、インフラエンジニア、サーバエンジニア、フロントエンジニア、デザイナー、テスターなど
多くの職種が関わっており、翻訳関係を除くと、日本でも上記のように別れてはいるのですが
日本と決定的に違うのが、文化的な考え方からも複数の役割を担う人材が少なく
チーム組成にはそれぞれの役割が必要になってきます。
日本では
サーバエンジニアが、フロントエンジニアの範囲やデバッグまで含め、兼務で行うのは割と当たり前ですが、ベトナムではこういう人材が少なく、
フロントエンジニア、サーバエンジニア、テスターの3名のコミットが必要になるのが一般的です。
もちろん全くいないわけではないので、日本と同じようなコミットが出来る場合もありますが、人や会社にかなり依存してきます。
さらにオフショア開発では、言語の問題があるため
通訳や翻訳を行うコミュニケータ、BrSEなどをコミットする必要があり
小規模なプロジェクトでは、どうしても日本よりも、コミット人数が大きくなる傾向があります。
例えば、日本であればエンジニア2名のコミットで済むようなプロジェクトも
ベトナムオフショアでやる場合は、BrSE1名+エンジニア2名+テスター1名といった体制になってしまいます。
仕様を把握するBrSEと実装するエンジニア、実装するエンジニアとテスターが分かれることで
どうしてもそれらの間に発生する、コミュニケーションのコストが増加しますし
小規模なプロジェクトでも、仕様書や指示書など、関連資料の翻訳などの期間やコストは
プロジェクトの規模に関係なく、ドキュメント量に応じて必要となるので
小さい規模のプロジェクトでは、かなり翻訳のコスト効率が悪くなります。
また、納期指定などを行う際に、日本のスケジュール感で見積もりの依頼を行うと
職種間のコミュニケーションや、翻訳の物理的期間、日本とのコミュニケーションでのコストなど、日本の開発では考慮されていないような期間が必要になるため
実際に実装に使える期間は短くなり、その分を取り戻すためコミット人数が増える傾向があります。
これもあり、ベトナムオフショアでは小規模な開発ではコストメリットを出しにくい状況となります。
むしろ、日本より高くなるケースすらあり得ます。
そもそもオフショア会社を検討する理由で、大多数はコストメリットを理由にしているため、小さいプロジェクトを正しく見積もった際に、必ずと行っていいほど
「見積もりが思ってたより高い、予算より高い」と言った感じになります。
そのため、予算感を合わせるために
工数をギリギリのラインで見積もりを出す
翻訳するドキュメントを絞る
コミットする人材のレベルを下げる
コストの高い日本人やマネージャークラスのコミットを減らすなどの
コストを下げる調整を行うしかなく、こうなるとプロジェクトで問題が発生する確率が大きく上がってしまいます。
小規模な実験的なプロジェクトは、経験上、見積もり~発注、納期までの期間が短いようなプロジェクトが多く人材の準備に時間が取れないことが多いです。
また、利益の小さな小規模プロジェクトは
ビジネス的な優先度が低くなりがちで、人材のコミットや調整の優先度なども相対的に下がってしまいます。
結果的に、余った人材や新人などで構成されるケースが多くなります。
そのため、小さいプロジェクトではどうしても失敗しやすい環境が出来やすいのです。
そんな環境で初めてオフショア開発に出すとなれば、結果はどうなるかというと・・・。
個人的には小さいプロジェクトだと、体制や業務フローから変わって来てしまうので
小さなプロジェクトで、オフショア会社を判断すること自体が、私は悪手だと思っていますが(時期やタイミングでの人材状況にかなり依存し、真実が見えにくいので)
どうしても小さいプロジェクトで確認を行う必要がある場合は
オフショア会社側とメンバー構成や開始時期、必要な期間などをよくすり合わせを行い
本プロジェクトを任せる前の、試金石のプロジェクトであることを正しく伝え、多少高くなっても正しいメンバーや期間をコミットしてもらうようにするなど
見積もりの段階からすり合わせを行いましょう。
オフショア会社に、丸投げしたい、日本と同じようにしたい、と思ってるとなかなか成功は難しいと思います。
オフショア会社とうまく付き合うと、コスト的にも開発力的にもメリットを出すことは出来ると思います、正しく理解して、うまく付き合いましょう。
ベトナムオフショアで失敗しないためのTIPS その3
初めてベトナムオフショアを利用する、または失敗してしまってどうして良いか解らないみたいなケースも多いと思います
実際失敗してる事例をよく見聞きします
失敗に関して言うと
ベトナムに仕事を出す側が知っている
対応していると避けられる問題はかなり多いです
気をつける点などをいくつかTIPS形式で紹介します
目次
「最初はとにかく確認をする、確認させる」
「指示は、意図と納期を合わせて伝える」
「自分から確認をする、確認は具体的に」
前回は、指示について書きましたが
今回は、ベトナム文化と確認について書きます
●ベトナムオフショアで失敗しないための行動 その3
「自分から確認をする、確認は具体的に」
日本では何かあれば部下から上司に報告をする、というのが当たり前だと思いますが
ベトナムのマネジメントではそうではなく、上司が部下に確認をするのが当たり前です
基本的にこれが理解できていないと、ベトナム人は報連相ができない!と思い込んでしまいます。
この違いをまず認識してください。
基本的に上司は定例ミーティングなり、席に行くなり、話しかけるなりで、部下に状況の確認をしましょう。
報告を待つのではなく、情報を吸い上げるように動きましょう。
もちろん報告のフォーマットやルールづくりを行えば、報告するというのを身に付けさせることは出来ますが、ベトナムでは一般的なマネジメントスタイルではないので
うまく機能しないケースもあると思います、基本的には自分から確認を取るようにしましょう。
また確認についても知っておくことがあります。
日本人とベトナム人では、問題の認識がまったく異なります。
これを認識出来ていないと
問題がないか?の確認を毎日行っていたが、事故ってしまった
問題がないという報告を信じていたら、実は問題は山積みだった
みたいなことが発生します。
日本人は、トラブルが発生しないように、事前準備などを入念に行い、そこにコストを使う傾向が強いです
そのため、トラブルが発生する可能性がある状態は問題があると認識します。
一方でベトナム人は、トラブルが起こったら対応をすればよい、という考え方があり、問題回避や事前準備に対してコストを使うのは無駄だと考える傾向があります
それもあり、まだ発生していないトラブルを問題とは認識していません。
文化が違うため、常識も違いますし、考え方も違います。
考え方の違いについて、例え話をすると
結婚記念日に、レストランで肉のコース料理を事前に予約し
当日レストランに行くと、間違って魚のコース料理が出てきたとします。
おそらく大半の日本人はこういった経験をすると、しばらくこのレストランは利用しない、もしくは二度と訪問しないなどと考えると思います。
そのためレストラン側も、そうならないように事前に確認をしたりなど対策を行いますし、それでも万が一そういう自体が起こった場合、食事を無料にしたりなどの対応を考えます。
しかしベトナム人の場合、こういうことが起こっても
作り直しを指示するだけで、次回はこの店を利用しないなどとは考えないですし、店側も食事を無料にする、などの特別な対応もあまり行いません。
起こったことは、リカバリすれば問題ないという環境に普段から触れているので
もちろん仕事上でもそういった判断を行います。
こういう常識の違いを理解していないと、色々とトラブルになってしまいます。
問題がないという報告は
隠したい事や言いにくい事なので言わないわけではなく
相談がしづらい環境ということでもないです
ましてや嘘の報告をしているわけでもないのです。
そして自分で報告しない文化も相まって、トラブルは大抵はリカバリを行ったあとに報告などを行います、それは日本人から見ると
トラブルを隠そうとしている、など悪く見えるかもしれませんが、そこに悪意があるわけではないです。
ここまでに書いた常識の違いを考えると、わかると思いますが
「問題がないか?」と言う確認には、ほとんどの場合「問題はありません」という返しになります。
つまり、この聞き方ではなにも確認できてないのです。
確認の際は
「スケジュールは今現在予定通り進んでいますか?」
「今後のスケジュールに影響が出そうなことはありますか?」
「今、気になることはありますか?悩んでいることがありますか?」
などと具体的に確認をとるようにしましょう。
そうすることで問題が見えて来ます。
相手が一方的に悪い、出来ない、駄目だと思っていると
その先にある大きな成功を見落としているかもしれません
自分から改善していくという行動ができないと
海外オフショアではまず成功しないと思います
ベトナムオフショアで失敗しないためのTIPS その2
初めてベトナムオフショアを利用する、または失敗してしまってどうして良いか解らないみたいなケースも多いと思います
実際失敗してる事例をよく見聞きします
失敗に関して言うと
ベトナムに仕事を出す側が知っている
対応していると避けられる問題はかなり多いです
気をつける点などをいくつかTIPS形式で紹介します
目次
「最初はとにかく確認をする、確認させる」
「指示は、意図と納期を合わせて伝える」
前回は、確認について書きましたが
今回は、指示について書きます
●ベトナムオフショアで失敗しないための行動 その2
「指示は、意図と納期を合わせて伝える」
日本人はある程度空気を読んで仕事をするケースが多く、基本的に作業を伝えると意図を汲んだりしますし、外国人と比べるとそういう部分にかなり秀でてると思います。
逆に言うとそれは日本人の特殊なコミュニケーション方法です。
私自身、この日本人の空気を読む力は素晴らしい点だと思っています、それがおもてなしなどにつながるサービス力など、日本の強みにつながってると思うので、それ自体は良いことだと思いますが
外国人とコミュニケーションを取る上では、この空気読み力というのは、かなり大きな障害となります。
ベトナム人も基本的に空気は読みませんし読めません。
指示をする場合などに、意図や納期などを伝えないと、基本的に何のためにいつまでにそれをやればよいのか?というのを、そもそも考えないで、ただ作業に取り掛かるケースが多いです。
逆質問で、納期の確認ぐらいはしてくるケースもありますけど、その辺りは個人のスキル差が出てきます。
基本的には社会主義のベトナムでは、その環境からもワーカー体質(タスク作業者)の人が多いのですが
意図を伝えずに作業指示だけを行うと、ほぼ間違いなくただタスクをこなすだけのワーカーとして動きます。
ワーカーなので、もっと良い方法を検討や提案するなどの行動も少なくなり
わからない部分は調査などを行わずに質問するだけ
ひどいと質問すらせずに分かる範囲だけで、適当にすすめる
みたいな状況になり
納期ギリギリになって間に合わない
指示と違うことをしていた
なんてことが起こってしまいます。
また、納期を伝えないと
聞けばすぐ解決するような事をひたすら調べてたり
余計な範囲まで対応しようとしてたり
と、こちらの指示とベトナム人がやろうとしている事に、ずれなどがあっても指示の段階で気づけなくなるため
必ず納期は指示と合わせて伝えたほうが良いです。
また、個人差はあるもののベトナム人は与えられた、はっきりとしたタスクに関しては、責任を持って解決しようとする人は多く
必要以上に頑張る人たちもいるので、納期を伝えないと
そこまでコストを掛けるつもりはなかったのに!みたいな、ものすごく頑張っていた!なんてケースが多々発生するので注意が必要です
例えば、金額のあたりを付けるために
かんたんに見積もり依頼をして、1日ぐらいで出てくると思っていたら全然おわらずに
現場では設計~工数見積もりまで行っており、2週間ぐらい使っていた・・・みたいなことが起こったりします
もちろん、こういうのは極端な例ではありますが
意図や期間を伝えていれば、こういうすれ違いは避けられます。
また作業意図や納期を伝えることで
現場でもなぜそれをやるのか?などが理解できるようになり
そうすることで
これは間違っているのではないか?
などの確認や
もっとこうしたら早くおわるんですが、どうでしょうか?
など、現場から提案なども出てくるようになります。
ベトナムオフショアで失敗しているという人の多数は
日本での仕事のやりかたをそのままベトナムに持ってきており
作業だけ指示をして、空気を読めないと対応出来ない理解できないという進め方をしているケースはよく見かけます。
私自身おそらくそうだったと思いますが
オフショア開発は発注をする側と受注する側という関係もあり
ベトナム人を見下しているつもりは無いものの
そういう意識がどこかにあるのか、自然と相手のスキルや意識が低いと判断してしまう日本人は多いでしょう
そういう中で問題が起こると、ベトナムのせいだと思いがちです。
もちろんベトナム側に悪い部分などもあるでしょうが、必ずすべてが悪とは限りません。
もしかして自分にもなにか問題があるのではないか?
と一歩引いてみてみましょう
相手を知らないとコミュニケーションはうまくいかないのと同じで、この仕事は何がしたいのか?が解らないと、仕事はうまくいかないです
とにかく指示をするだけではなく、何故そうするのか?を必ずつたえましょう
自分が知らないことは出来ないのと同じく、ベトナム人も知らないことには対応も提案もできません。
相手が一方的に悪い、出来ない、駄目だと思っていると
その先にある大きな成功を見落としているかもしれません
自分から改善していくという行動ができないと
海外オフショアではまず成功しないと思います。
ベトナムオフショアで失敗しないためのTIPS その1
初めてベトナムオフショアを利用する、または失敗してしまってどうして良いか解らないみたいなケースも多いと思います
実際失敗してる事例をよく見聞きします
私がベトナムで長く仕事をし、実際に自分の目で現場をみたり聞いたりしている限り
オフショアの失敗事例というのは
殆どの場合は、そのオフショア会社を使うクライアント側の理解が足りていないがために
コミュニケーション、指示などで発生する齟齬が問題だったりします
もちろんオフショアの会社側の問題で失敗するケースもあるのですが、理解をし、コミュニケーションを正しく行うことで事故は起こりにくくなり、成功の確率が格段に上がります
私もベトナムに来てから
最初の数年はベトナム人のスキルの問題、理解度の問題で失敗していると思っていましたが、自分の意識を変え、それを踏まえチームの管理をした所
それ以降失敗することが格段に減り、チーム全体の出力なども大きくあがりました
今では正しくマネージメントができれば、日本での開発とそれほど大差がないなと思えるレベルになったと思います。
もちろんいくつかポイントはあるのですが
自分の常識、日本の常識、今までのやり方で指示や判断をせずに、コミュニケーションを取ることに尽きると思います。
どうしても常識の違いがあるため、一方的に判断や指示など行うようなコミュニケーションをしてもうまくいかないです
身近な部分で例えていうと
例えば、男女の違いなどがイメージとしては近いかもしれません
問題への取り組みや会話や興味、家庭の常識など、色々と違いますよね?
男女関係も、相手を理解しようとしないで一方的に判断して指示してなどを行っていると、すぐに喧嘩になったり、破綻しますよね?
また相手を理解できず、一方的に片方が我慢するみたいな関係は長く続かないですよね?
それは日本人とベトナム人の間でも同じで、うまく進めようとした場合は、相手を理解し、それに合わせた行動や伝え方などを考える必要があります
目次
「最初はとにかく確認をする、確認させる」
「指示は、意図と納期を合わせて伝える」
ベトナムオフショアで失敗しないための行動 その1
「最初はとにかく確認をする、確認させる」
最初は面倒かもしれませんが、とにかくベトナムオフショアに慣れるまでは
現場とはコミュニケーションを取る様にしたほうが良いです
基本的には、毎日のように質問をおこなう、確認を行う、また質問させるを徹底して
最初は時間をかけてでも丁寧にやりましょう
日本と同じ様に現場に任せてすすめると
チームに報連相が定着せず、お互いの理解も進みません
何も聞かずに現場判断で、工数を違うことに使ったり、全く見当違いの作業を行っていたり、質問すれば即解決することすら質問せずに作業するなど
多かれ少なかれ事故が起こります、場合によっては致命的な事故につながることもあります
メンバーや仕事内容などで、たまたま任せてうまくいくケースもあるかもしれませんが
そのやり方ではいずれ重大な事故が起こるので、とにかくまずは質問や報告をするのが当たり前という空気を作ったほうが良いです
面倒くさがらずに最初は現場とコミュニケーションを取り
ベトナム側から、どういう部分で質問が多いのか?などを理解し
相手が理解していないと思わずに
相手が理解できるように伝えられなかったことが問題であると認識するようにし
自分の伝え方や指示が悪かった部分があるのではないか?と考えて見ましょう
何故そうなったのか?どういう判断でそうしたのか?など細かく紐解き、問題がどこにあったのかを掘り下げましょう
そうすることでなにか見えてくるものがあると思います
ベトナム人と日本人ではそこまでに経験したことの違い、常識の違いがあるため、判断条件も全然違います
問題を問題と把握できておらず、それが事故につながるというケースも多いです
それを一方的に責めても、相手は何が悪かったのかが理解出来ないため改善もしませんし、意味がわからないと言う状態になるので
下手すると、発注者がちゃんと管理するスキルを持っていないと判断してしまうケースすらあります
そんな中でプロジェクトを進行してもうまくいきません
相手が一方的に悪い、出来ないの駄目だと思っていると
その先にある大きな成功を見落としているかもしれません
自分から改善していくという行動ができないと
海外オフショアではまず成功しないと思います
ブリッジSE(BrSE)とコミュニケーター(Comter)の違い、優秀な人の身分け方
ベトナム(海外)の日本向けのオフショア開発では
ブリッジSE(BrSE)やコミュニケーター(Comter、Communicator)という日本の開発では馴染みのない、ポジションがあります
どちらのポジションも基本は日本語とベトナム語のコミュニケーションの間に入りますが、役割が少し違ってきます
ざっくり簡単にいうと
ブリッジSEは技術者やPM、コミュニケーターは通訳というイメージをするとわかりやすいかも知れません
基本的にどちらの職種も、日本語能力の目安となる、日本語能力試験の資格保持者がほとんどで
日本語能力に関して言うと、ある程度この資格を見ることで能力が図れます
基本的に、直接日本語でやり取りするような業務ではN2以上は必須の印象です。
ブリッジSEとコミュニケーターについて、
もう少し掘り下げて説明してみようと思います
ベトナムのオフショア開発の中で一般的にそういう傾向があるという話なので
もちろん個人差や会社でも少し変わってくると思います、参考程度にしてください
ブリッジSEとコミュニケータってどう違うのか?
もちろん会社や個人のスキル次第で違いはあるという前提です
ブリッジSE(BrSE)
ブリッジSEは、日本語やお互いの国のビジネスルール、技術を理解し
クライアントと、オフショア開発チームのブリッジ役となる人材です
タスクや進捗管理などベトナム側の開発チームの管理なども行います
会社に寄って基準がまちまちで、ただ日本語が読み書きできるだけのN3レベルのエンジニアがブリッジSEというケースもあれば
日本留学や日本で就業経験があるN1レベルのブリッジSEも居ます
ボリュームゾーンでいうとN2取得者が多くこのレベルが目安で、N1レベルは数は少ない印象
ちなにに経験上、BrSEとして優秀だと思う順序は経歴などを見るとある程度の傾向があります
・日本にあるオフショア以外の日系企業で2年以上所属し、働いている
・日本にあるオフショア系企業で2年以上所属し、働いている
・日本に2年以上の出向や出張の経験がある
という順序で優秀な印象があります、とにかく日本の企業で実際の業務を経験し日本の企業の文化を知っている人ほど
報連相がしっかりしておりコミュニケーションが取りやすく、業務の取り組み方などが日本人が望む動き方に近く
残業などの意識、責任などしっかりしており、BrSEとして優秀だと思うケースが多いです
とくに日本で就業中などにN1を取得しているようなBrSEは、日本での過酷な業務環境(日本のITだと残業当たり前な状況なので・・・)の中でも自主的に勉強をしているということもあり、かなり優秀な印象です
他にも順序は少しつけづらいのですが、日本文化を知っているという点と、頭がよく優秀という点では
・日本の大学に2年以上の留学経験がある
という経験の人もスキルやコミュニケーション的に優秀な人は多い印象です
ただし、日本企業で勤務していないため、残業などへの認識などは日本人と違う印象があり
また留学を経験しているからか、環境を変更するということにあまり壁がなく転職なども多い印象があります
逆に、経験上、BrSEとして微妙だなーと思う順序は
・日本への留学経験などがない新卒
・ベトナム人が経営する大手オフショア開発企業の就業経験のみで、4年以上働いている
・転職を何度も繰り返し、同じ企業に2年以上いない
新卒だとそもそも日本企業の文化を理解していない上に、マネージメントなどの経験も無いため、デメリットが強いです
小~中規模なプロジェクトだと、コスト的にBrSEはPMの業務を兼務することが多いのですが、ベトナムは社会主義国家で、年功序列の意識がかなり強く残る国なので、年齢が低いマネージャーというのはうまく機能しないケースがあります
そのためチームが経験よりも勢いや成長などを重視する、若いメンバーで構成したチームならあまり問題はないのですが
経験を重視するようなチームの場合に、BrSEがメンバーに指示できないという問題が発生したりします、そのため新卒や経験が浅い若いBrSEはチームメンバーを考慮する必要があり使い所が難しいです
ベトナムのオフショア企業で下手に長く働いている場合は、ベトナム式の管理や業務進行が身についてしまってるケースが多く
例えばエンジニアがテストしない、などのベトナムでの悪い文化を当たり前と認識していたり、それはベトナム人にはできないという諦めが早かったり、リスク管理などに気を使いすぎていろいろ遅くなる割にリスク回避できていない、など考え方や取り組み方など、いろんな面で問題になるケースが多々出てきてしまいます、BrSEに限らず、PMや部長職などでも、ベトナム系企業の業務経験が長いマネージャは、経験上あまりオススメできないです
転職はジョブホッピングの文化があるといえば聞こえは良いですが、実際ベトナムで見てる限りの率直な感想をいうと
転職を繰り返す人は、実際の将来性や自分の成長などよりも、目先の給料や手当、ボーナスなどに貪欲で、それ目当てで転職を繰り返してる人が多い印象です
勿論、日本に行くという目的があったり、起業するなどの目的で転職をする人もそれなりにいますが、そういう人は経歴を見ればわかりますし、転々と転職するのとは別です
ちゃんとやりたいことがあり、成長したいと思っている人ほど、自分で色々と提案などもおこない、そういう人は自社でも他社でも定着している印象はあります
経験上転職を繰り返して入社してきた人は、かなり高確率で定着する事なく自分が得るものを得たと思ったタイミング(つまり1年ちょっと経過したぐらい)で同じ様に転職していきます
一方である程度長く努めている経験がある人は、本人の望む成長などと業務内容やチームのマッチングがうまくできている場合、ある程度定着する印象があります
コミュニケーター
コミュニケーターは、ビジネスレベルの日本語を理解し、通訳や翻訳を行う人材です
基本的には、仕様書や指示書、レポートなどの書類の翻訳、質問や指示、会議などでの相互のコミュニケーションの通訳や翻訳などを行います
プログラムや設計などの技術面や、タスク管理やマネージメントなどに関してのスキルはほとんど期待できません。
基本的に役割としては通訳と考えて問題ないです。
日本語はほぼN2以上で、N1取得者も多くBrSEと比べ日本語能力が高めです。
BrSEよりも日本語能力が高いというのもありますが、基本は通訳など直接コミュニケーションをとることが多くそういう基準で採用などもされるため、BrSEと比較するとコミュニケーション能力が総じて高めです。
役割的に、コミュニケーションや翻訳が多い、プロジェクト初期などにスポットで参加するケースなども多いですが、BrSEがいないチームでエンジニアやPMと組んでチームに常時コミットするケースなどもあります。
BrSEがいる場合でも、仕様書などのドキュメントがあまりないプロジェクトや、アジャイル開発なプロジェクトなどではどうしてもコミュニケーションが多くなるため、BrSEとは別にプロジェクトに参加するケースもあります。
またコミュニケーターは女性が多く、ベトナムでは女性は25歳ぐらいまでには大体結婚し家庭をもち、家事や育児を女性がするという文化面もあり、基本的に残業などが行えない人がほとんどのため、チーム体制やプロジェクトによって向き不向きはでるので注意が必要です。