ベトナムのハノイからアレやコレ

ベトナムに移住してもう6年、この環境が日常となってしまい忘れてしまった事も多々あるけれど、なるべく気づいた事とかをブログに書いていきます

ベトナムのオフショア開発でメリットを出しにくい小規模な開発

ベトナムオフショア開発で失敗しないためには、

プロジェクトの向き不向きなども考える必要があります。

 

初めてベトナムオフショアの利用を考える際に

心配もあって、実験的な小さなプロジェクトをまず出してみる、というのはありがちです。

ですが結論からいうと

こういった実験的な小さなプロジェクトは、コスト的にも環境的にもベトナムオフショアに向いていません。

 

ベトナムは、基本的に社会共産主義の流れを汲んで

自分の役割や業務ではない部分には口を出さない、手を出さないという文化が根付いてます。

 

オフショア開発では

PM、コミュニケーター、BrSE(ブリッジSE)、インフラエンジニア、サーバエンジニア、フロントエンジニア、デザイナー、テスターなど

多くの職種が関わっており、翻訳関係を除くと、日本でも上記のように別れてはいるのですが

日本と決定的に違うのが、文化的な考え方からも複数の役割を担う人材が少なく

チーム組成にはそれぞれの役割が必要になってきます。

 

日本では

サーバエンジニアが、フロントエンジニアの範囲やデバッグまで含め、兼務で行うのは割と当たり前ですが、ベトナムではこういう人材が少なく、

フロントエンジニア、サーバエンジニア、テスターの3名のコミットが必要になるのが一般的です。

もちろん全くいないわけではないので、日本と同じようなコミットが出来る場合もありますが、人や会社にかなり依存してきます。

 

さらにオフショア開発では、言語の問題があるため

通訳や翻訳を行うコミュニケータ、BrSEなどをコミットする必要があり

小規模なプロジェクトでは、どうしても日本よりも、コミット人数が大きくなる傾向があります。

 

例えば、日本であればエンジニア2名のコミットで済むようなプロジェクトも

ベトナムオフショアでやる場合は、BrSE1名+エンジニア2名+テスター1名といった体制になってしまいます。

仕様を把握するBrSEと実装するエンジニア、実装するエンジニアとテスターが分かれることで

どうしてもそれらの間に発生する、コミュニケーションのコストが増加しますし

小規模なプロジェクトでも、仕様書や指示書など、関連資料の翻訳などの期間やコストは

プロジェクトの規模に関係なく、ドキュメント量に応じて必要となるので

小さい規模のプロジェクトでは、かなり翻訳のコスト効率が悪くなります。

 

また、納期指定などを行う際に、日本のスケジュール感で見積もりの依頼を行うと

職種間のコミュニケーションや、翻訳の物理的期間、日本とのコミュニケーションでのコストなど、日本の開発では考慮されていないような期間が必要になるため

実際に実装に使える期間は短くなり、その分を取り戻すためコミット人数が増える傾向があります。

 

これもあり、ベトナムオフショアでは小規模な開発ではコストメリットを出しにくい状況となります。

むしろ、日本より高くなるケースすらあり得ます。

そもそもオフショア会社を検討する理由で、大多数はコストメリットを理由にしているため、小さいプロジェクトを正しく見積もった際に、必ずと行っていいほど

「見積もりが思ってたより高い、予算より高い」と言った感じになります。

 

そのため、予算感を合わせるために

工数をギリギリのラインで見積もりを出す

翻訳するドキュメントを絞る

コミットする人材のレベルを下げる

コストの高い日本人やマネージャークラスのコミットを減らすなどの

コストを下げる調整を行うしかなく、こうなるとプロジェクトで問題が発生する確率が大きく上がってしまいます。

 

小規模な実験的なプロジェクトは、経験上、見積もり~発注、納期までの期間が短いようなプロジェクトが多く人材の準備に時間が取れないことが多いです。

また、利益の小さな小規模プロジェクトは

ビジネス的な優先度が低くなりがちで、人材のコミットや調整の優先度なども相対的に下がってしまいます。

結果的に、余った人材や新人などで構成されるケースが多くなります。

そのため、小さいプロジェクトではどうしても失敗しやすい環境が出来やすいのです。

そんな環境で初めてオフショア開発に出すとなれば、結果はどうなるかというと・・・。

 

個人的には小さいプロジェクトだと、体制や業務フローから変わって来てしまうので

小さなプロジェクトで、オフショア会社を判断すること自体が、私は悪手だと思っていますが(時期やタイミングでの人材状況にかなり依存し、真実が見えにくいので)

どうしても小さいプロジェクトで確認を行う必要がある場合は

オフショア会社側とメンバー構成や開始時期、必要な期間などをよくすり合わせを行い

本プロジェクトを任せる前の、試金石のプロジェクトであることを正しく伝え、多少高くなっても正しいメンバーや期間をコミットしてもらうようにするなど

見積もりの段階からすり合わせを行いましょう。

 

オフショア会社に、丸投げしたい、日本と同じようにしたい、と思ってるとなかなか成功は難しいと思います。

オフショア会社とうまく付き合うと、コスト的にも開発力的にもメリットを出すことは出来ると思います、正しく理解して、うまく付き合いましょう。